学科生の声

卒業生の声

2013年度卒業
理科二類出身 
孝一郎

マクロな視点から「健康」を分析する。

芝さんは、本学科の健康科学コース(当時)を2013年度に卒業した後、公共健康医学専攻で公衆衛生学修士(専門職)を取得、その後ハーバード大学大学院(Harvard Graduate School of Arts and Sciences, PhD course in Population Health Sciences)に進学し、現在も在学中です。

この学科を選んだ理由

駒場にいた頃、今後少子高齢化が進み、様々な健康問題が発生してくるという問題意識がありました。それらに対する解決策を考えたいと思ったことがきっかけです。

卒業論文では、実際近年問題になっている「介護負担感」をテーマに執筆しました。介護は精神的にも肉体的にも負担が大きいものです。周囲の人間関係からのサポートが、介護をする人の負担感に与える影響について研究しました。

 

実際に本学科で学んでみて

ミクロとマクロ両方の視点から健康をとらえることができるのが、健康総合科学科の最大の特徴だと思います。一般に健康に対する科学といえば、ヒトの体の中の遺伝子や細胞について考える生命科学の分野と思われるのではないでしょうか。健康総合科学科では、そういったミクロな視点からだけではなく、「人々が健康に暮らせる社会の在り方とは何か」を突き詰め政策として世の中を変えていくような、マクロな視点からの考え方を身に付けることができます。

また昨今は、様々な情報を集積して用いるビッグデータの重要性が高まっています。健康の分野でも、人々の行動や健康状態などをデータとして扱い、疾病の原因特定や今後の健康対策に活用することが求められています。疫学や生物統計学といった、人々の健康に関するデータを扱ううえで基礎となる分析スキルや、データの解釈の仕方を学ぶには健康総合科学科が東大で唯一にして最高の場所だと思います。

私は学部を卒業後、大学院に進学して公衆衛生学修士(専門職)を取得しました。卒業論文や課題研究論文の執筆を通して、文章や言葉で自分の考え方を論理的に相手に伝える力というソフトなスキルが鍛えられたのも大きな収穫の一つです。

 

自分自身の今後の展望

日本では公衆衛生の研究者は、医師や看護師といった医学分野の専門家が多いかと思います。

しかしアメリカでは、公衆衛生学の研究者は医療の専門職に限りません。経済学、心理学、地理学など、研究者のバックグラウンドが多様であるため、臨床や生物学の枠組みを超えた様々な視点から健康を捉えた研究が盛んです。日本にはないこの環境だからこそ得られるものを、しっかり吸収して帰国することが、直近の目標です。

 

進学を考えている(悩んでいる)人へのメッセージ

「看護師になりたい」「生命科学に興味がある」などのはっきりした目的がある人以外でも、きっと興味をもてる学科です。健康を軸に社会の在り方について考えてみたい、人々の健康に関わる政策について考えてみたいなど「経済学」「社会学」「心理学」「政策学」に関心のある人から、今話題の「統計学」やそれを使ったデータ分析を通して人々の健康に貢献したいという人までに対応し、幅広い知識やスキルを身に付けられます。このような学びの場は本学科をおいて他にないでしょう。

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(インタビュー:2016年 所属・学歴等の内容はインタビュー当時のものです。)